この1~2年で会社にテレワークのルールが制定されたり、新卒からテレワーク勤務の会社に入社される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最近ではカフェやコワーキングスペースなどにテレワーク用のスペースが準備され、自宅以外でも仕事がしたい、というニーズに応えてくれる場所も増えてきましたし、最近では新幹線でビジネス向け車両が導入されたというニュースもありました。
このこと自体は便利で役に立つサービスなのですが、使う側が注意しておかなければ、せっかくの便利なサービスも情報漏えいの原因になってしまいます。
つまり「場所に縛られず働くことができる」テレワークは、『働き方』が選択できる利点もありますが、社外で働くことによる問題が発生することがあるのです。
テレワークによる問題を発生させないよう、「テレワークの問題点」を中心にご説明していきます。
テレワークとは
まず、「テレワーク」とはどういう意味なのでしょうか。
一般社団法人 日本テレワーク協会は、下記のように定義しています。
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
※「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語
@一般社団法人 日本テレワーク協会
つまり、テレワークには下記が含まれるということです。
在宅勤務
自宅を就業場所とする働き方。通勤時間の削減、移動による身体的負担の軽減が図れ、時間の有効活用ができる
モバイルワーク
電車や新幹線、飛行機の中等で行うもの、移動の合間に喫茶店などで行うものも含み、業務の効率化に繋がる。
サテライト/コワーキング
企業のサテライトオフィスや一般的なコワーキングスペースで行うもの。企業が就業場所を規定する場合も、個人で選択する場合も含む。
ワーケーション
リゾートなどバケーションも楽しめる地域でテレワークを行うこと。ビジネスの前後に出張先などで休暇を楽しむブレジャーも含む。
@一般社団法人 日本テレワーク協会
以上が、テレワークに含まれるものです。
つまり、出張中に業務行う「モバイルワーク」も、会社指定の勤務先である「サテライトオフィス」での業務も、社外での労働=テレワークになるのです。
会社の外で働く、ということについて
会社の外で働くということは、通常「社内よりもセキュリティーが脆弱な環境で働くことになる」ということです。
社内であれば、通常自社の従業員人しかいませんので、社内で話しをしていて『社外に情報が洩れる』ことは、意図して漏えいをしようとしない限りありません。
ですが、レンタルスペースや飲食店、複合施設の廊下、社外の休憩スペース、電車の車内などの場合は、社外の人もいるのです。
つまり、情報漏えいが起こりやすい環境であると言えるのです。
話している人は、情報漏えいをしているつもりがなくても、一緒に行動している上司への報告や同僚と話す愚痴で会社の内情が周囲に伝わってしまうことがあります。
飲食店や複合施設の廊下、社外の休憩スペース、電車の中・・・
社内の人しかいない状況って、どのくらいあるでしょうか。
このことを、しっかり考え、注意していく必要があります。
第三者には家族も含まれる
情報漏えいの原因は社外の第三者だけではありません。
自分の所属している部署やプロジェクトの同僚・上司以外は全て第三者なのです。
プロジェクトによっては、部署選抜でプロジェクトメンバーを決めることがあります。その場合、プロジェクトメンバーに選抜されなかった所属部署の人に、プロジェクトの内容を話すことは、秘密保持義務に違反することになるのです。
これは、家族も同様です。家族だから大丈夫と思って話すと、家族から話が広まり、会社から情報漏えいの責任を追及される可能性も否定できないのです。
そのため、会社から秘密であると言われた情報や営業秘密に該当する情報を、社内以外の場所で取り扱うときには、非常に注意が必要です。
他人に見せてはいけないもだと知らずに、SNSに投稿する可能性もあります。SNSの利用方法などについては、世代間でのギャップもありますので、リモートワークを開始する前に、同居する家族に情報の取り扱い方について説明しておくことも重要です。
テレワーク中に注意すべきこと
電話やWEBミーティング
電話やWEBミーティングをしていると競合他社が同じスペースにいて、取引先や価格などの情報を聞かれる可能性もあります。
WEBミーティングなどを行うときは、周囲の環境とミーティング内容を確認して、チャットで行うなど、声からの情報漏えいが起こらないようにしましょう。
声に出していなくても、席の位置によっては画面をのぞかれる可能性もあります。
可能であれば、衝立(ついたて)やパーテーション、個室を利用する等の対策をしましょう。
インターネット接続
カフェなどに併設されている無線LANについても注意する必要があります。
少なくとも、下記は気に留めておくようにしましょう。
- 暗号化されているか
- 傍受されていないか
- 接続先のスポットが安心できるものか
中には有名な無線LANのアクセスポイントに成りすますなどして、アクセスさせる手口もあります。
暗号化されていない通信の場合、IDやパスワードを送信することでアクセス権限を相手に与えてしまい、それが原因となって、大きな情報漏えいになる可能性もあるのです。
すべてのアクセスポイントが、悪意のある人によって設定されたわけではありませんが、すべてが安全であるとは限りませんので、注意するようにしましょう。
まとめ
テレワークをする側が、ルールやマナーを守って正しく利用できなければ、情報漏えいの原因になってしまいます。そのため、テレワークをするときは、会社のルールに従って動くことが重要です。
また、会社にルールがない場合であっても、従業員には雇用契約に基づく守秘義務があるため、会社や自身の業務の情報を外部に漏らさないよう、注意しなければいけません。
なお、実際にルール違反によって問題が起こると、新たなルールが増え、申請や届出の増加や、監視ソフトの導入等、少々窮屈な状況になってしまう可能性があります。
会社が決めたルールが一見理不尽に見えたとしても、過去に誰かが問題を起こした結果そのようなルールを定めた、というケースも考えられるのです。
情報漏えいは、会社が最も気にするところのひとつですので、漏えいしないよう、自身でしっかり対策するようにしましょう。