今回は、企業でよく取り入れられている「人材育成の方法」について、お話していきたいと思います。
主な人材育成方法は3種類
「人材育成の方法」には大きく分けて3種類あります。
- OJT(On The Job Training)
- Off-JT(Off-the-Job Training)
- SD(Self Development)
まずは、この3つの違いについて整理しておきましょう。
OJT(On The Job Training)
OJTってよく聞くんですけど…
具体的に、どういうものがOJTになるんですか?
そうだね、普段お願いしている業務だと、
・送付状の書き方
・契約書の製本の仕方
・勤怠の集計方法
とかは、「席」で説明を受けながらやってもらったよね。
こういう、日常業務を教えることをOJTって言うんだよ。
なるほど。
普段の席で教えてもらいながら、仕事をする
のがOJTなんですね。
そうだよ。入社時点では知らなかった、ルーティン業務も
今はできるようになっているよね。
日々の業務がトレーニングになって、できるようになった。
つまり、真白くんが「育った」「スキルが身についた」って
ことなんだよ。
Off-JT(Off-the-Job Training)
ということは、セミナールームで教わった研修は
全部Off-JTになるんですか?
そうだね。
日常業務以外に「研修の時間」を設けて
対象者を集めて行う研修はOff-JTだよ。
なるほど。
合っててよかったです!
ただ例外もあって、OJTをセミナールームで
した場合は、Off-JTにならないよ。
OJTをセミナールームで…?
この前、ハラスメント防止研修のやり方を
セミナールームで教えたよね?
真白くんにとって研修の実施は、通常業務
に含まれるから、OJTになるんだよ。
なるほど。
わかりました。
SD(Self Development)
じゃぁ、SDって何ですか?
SDは、「Self Development」の略で
自己啓発のことなんだよ。
自己啓発って…
自主的に学ぶってことですよね?
なんで「育成」なんですか?
人の成長=会社の成長
と考えているからだよ。
会社は「人」の集まりだから、「人」が成長しないと、
会社も成長しないんだよ。
なるほど。
そうなんですね。
そうだよ。
自主的な学びの方が、記憶に残りやすいしね。
記憶に残りやすいと、早く出来るようになるでしょ。
自分で勉強してもなかなか覚えられないような…
うーん。
会社で決められている研修は、強制されることが多い
よね。仕事をするために必要だから、仕方がない
部分もあるんだけど。
はい…
でも、強制されたことを覚えるには「覚えないと!」
「がんばらないと!」って思ったりしない?
はい。
僕もがんばって、早く覚えなきゃって思ってました。
うんうん。
でも、気になる事や、学びたいことを学ぶ時は、
そこまで追い込まれたりしないんじゃないかな?
確かに、そうかもしれないです。
でも、気になる事、学びたいことだから、積極的に
学ぶよね?
つまり、自主的な学びの方が、強制的な研修より、
マイナスの「負荷」が少なくて、身につきやすい、
成長しやすいんだよ。
なるほど。
確かに、自分知りたいって思ったことは
「負荷」って言うより「意欲」って感じ
だと思います。
だから、自己啓発も「育成」なんですね。
そうだよ。
自己啓発を促すことで、人材を育成して
会社の成長につなげる。
大切な育成方法の1つなんだよ。
自己啓発を促す…
自己啓発しろ~って言うってことですか?
しろ~って言ったら、
強制になるでしょ?
確かに、そうですね。
じゃぁ、どうやって促すんですか?
そうだね。
外部セミナーの講習料を会社で負担したり、
資格取得のための教材を会社で買ったり、
あとは、好きなことを学べるようにe-ラーニングの
システムを入れることも「促す」ことになるんだよ。
なるほど。
わかりました!
まとめ
上の会話をまとめると、このようになります。
OJTとは、配属された部署の業務を先輩や上司に教えてもらいながら行っていく、「現場教育」を指し、日常業務を通して、業務の知識やスキルを身につけていくもの。
Off-JT(Off-the-Job Training)
Off-JTとは、日常業務から離れ、研修の対象者を集めて行う「集合研修」を指し、業界知識や事業内容、ビジネスマナーなど設定されたテーマについて体系的に学んでいくもの。
SD(Self Development)
SDとは、「自己啓発」のことを指し、自身が学びたいことを自発的に学んでいくもの。
人材育成では、自己啓発を促進するための制度を取り入れることにより、自発的な学びを促進することをいう。
例えば外部セミナーの受講料や教材購入の費用を会社で負担したり、e-ラーニングのシステムを導入するなどの方法がある。
従業員の育成は会社の育成であり、従業員の成長は会社の成長につながります。
そのため会社は、この3つの方法を組み合わせながら、従業員の育成をしていくのです。
なお、厚生労働省が行った令和2年度「能力開発基本調査」でも、下記結果が出ています。
- 教育訓練費用(OFF-JT費用や自己啓発支援費用)を支出した企業は49.7%(前回57.5%)
- 計画的なOJTについて、正社員に対して実施した事業所は56.5%(前回64.3%)
【結果の詳細はこちら】
厚生労働省 令和2年度「能力開発基本調査」の結果を公表します
調査結果の概要
人材育成を考える時は、この3つの育成方法をバランスよく取り入れるようにしましょう。
次回は、「人材育成方法のメリット・デメリット」をご説明いたします。