今回は、人事総務の道標~「人事」と「採用」の違い についてです。
「人事」と「採用」の違いとは? NYA事務所編
三毛くん、真白くん、ちょっといいかな?
はい!
はい。茶縞部長、何でしょうか?
今度ね、営業を1人採用しようという話になってね。急で悪いんだけど、色々準備をお願いできるかな。
承知しました。必要な経歴やスキルはありますか?
そうだね。営業職だから、コミュニケーション能力は必須だね。細かい部分は、営業部長の鍵尾くんに確認してくれるかな。
承知しました。
真白くんも一緒に聞きに行っておいで。人事の勉強にもなるから。
はい。わかりました!
よろしくね。何か聞いておきたいことはあるかな?
あの~・・・根本的なことかもしれないんですけど・・・
うん。何かな?
採用も総務の仕事なんですか?
うちの会社はそうだね。不思議かい?
不思議というか・・・採用って「The人事」っていうイメージで、総務の仕事とは違う感じがして・・・
ははは。確かに採用は「The人事」だね。でも、うちの会社みたいに人事部がない場合は、どこかの部署の人が人事業務を担当するか、管理部門が人事の役割を担うことが多いんだよ
なるほど。会社によって違うんですね。
勉強になります。
それは良かった。
ありがとうございます。あともう1ついいですか?
どうぞ。
「人事」と「採用」って違うんですか?
……!
うん?
すみません、茶縞部長。それは、私から説明しておきます。
ははは。じゃあ、あとは任せたよ。
・・・・・
「人事」と「採用」の違い、あなたならどう答えますか?
お答えに詰まった方は、以下の解説をどうぞ。
人事とは
「人事の仕事」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
採用したり、人事異動の辞令を出したり、人事考課をしたり・・・等々「人事〇〇」という言葉から連想するものが多いのではないでしょうか。
もちろん、それは間違いではありませんが、それだけではありません。
「人事」は、漢字のとおり、「人」に関わるすべての「事」を担う職種をいうのです。
人事には4つの仕事がある
「人に関わるすべての事」=「人事」は、大きく分けて下記の4つの仕事に分類されます。
- 採用
- 人事
- 労務
- 研修
「人事」の仕事の分類にも「人事」があることにお気づきでしょうか?
実は「人事」という言葉には、4つの分類すべてを含む「人に関わるすべての事」という意味だけではなく、「採用、労務、研修を除く人に関わる事」という2つの意味があるのです。
人事業務の分類
人事に含まれる各業務について、簡単にご説明していきます。
採用
「人」がいなければ、企業は活動することができません。「人」は企業にとってなくてはならない、大切な財産なのです。
その大切な財産である「人」を確保するのが採用の仕事です。
採用担当の方は、企業説明会や面接、求職サイトに写真が載るなど、応募者の目に触れる機会が多いことから、「企業の顔」と称されることもあります。
なお、採用は大きく「新卒採用」、「中途採用」、「アルバイト・パート採用」の3つに分かれます。
人事
採用活動をしている間も、採用後も会社は事業活動を継続しています。その事業活動により、部門間の「人」の調整が必要になることがあります。
その「人」の調整をするのが人事の仕事です。
会社の状況に応じて配属先の決定をしたり、各部門の「人」の調整を行ったり、採用後の配置や異動、配置転換、昇進、降格等「採用、労務、研修を除く人に関わること」を、調整、決定、通知します。
人事制度の構築や人事面談に関わることも多いため、中小企業では役職者が担うことが多い仕事です。
労務
「人」を採用した時には、社会保険や雇用保険の手続きなど様々な手続きが必要になります。また、退職した時も同様です。では、雇用期間中はどうでしょう?それほどないように思うかもしれませんが、非常に重要な仕事があります。労務管理です。
「人」が入退社した時の手続きと雇用期間中の労務管理が労務の仕事です。
労務管理には、勤怠(出勤・退勤、休暇、欠勤、遅刻・早退)の管理や給与計算、労使トラブルの解消や就業規則の作成、見直しなどが含まれます。
労務管理は専門的な知識が必要になることもあることから、「社会保険労務士」資格を持つ方に委託している会社も数多くあります。
研修
採用した「人」が採用時とずっと同じレベルで、同じ仕事しかできないと、会社も成長しません。「人」が成長するからこそ、会社も成長できるのです。
その「人」を育成し、成長を促すことが研修の仕事です。
研修には、OJT(On-the-Job Training)実務を行うことによる研修と、Off-JT(Off The Job Training)集合研修など、実務を行う場所を離れて行う研修の2種類があります。
4つの人事業務の分担例
会社によっては、4つの人事業務を分担して行う場合もあります。
そのため、同じ「人事部門」の仕事であっても、分担の仕方によって行っている業務が下記のように変わってきます。
通年採用しているため、採用部門がある
人事部門
- 採用
- 人事
- 労務
- 研修
採用部門
- 採用
- 人事
- 労務
- 研修
従業員が多いため労務部門がある
人事部門
- 採用
- 人事
- 労務
- 研修
労務部門
- 採用
- 人事
- 労務
- 研修
異動等については、経営層が担当している
人事部門
- 採用
- 人事
- 労務
- 研修
経営層
- 採用
- 人事
- 労務
- 研修
人事部門がバラバラに分かれている(担当制)
人事部門
- 採用
- 人事
- 労務
- 研修
担当者
- 採用 ー 営業部長
- 人事 ー 社長
- 労務 ー 経理部長
- 研修 ー 外部委託
このように、会社によって分担は様々なのです。
まとめ
皆さんはもう、真白くんの疑問(「人事」と「採用」って違うんですか?)に答えられますね?
「人事」と「採用」は、「人に関わること」という意味では同じですが、業務の内容は異なります。
一言で「人事」といっても、様々な業務があります。
もし、人事業務の担当者になったり、人事職に応募する時には、どの業務がその会社の「人事」に含まれるのか、しっかり確認するようにしましょう。