おう、ヤス。昨日渡しといた発注書の押印って済んでるか?
昨日の夜に持ってきたんだからさすがに無理だよ。
急ぎなのかい?
急ぎではないけど早い方がいいかな
わかったよ
真白くん、ちょっといいかな?
はい。何でしょうか?
社長に、押印をお願いしてきてもらえる?
こっちは角印で、こっちが丸印ね。
??
どうしたの?
ニュースで見たんですけど、押印って要らなくなるんじゃないんですか?
そうだね。今後は減っていくと思うけど、今はまだ必要かな。
すぐになくなるのかと思ってました……
それに先方が押印した書類を送ってきてくれたのに、こっちだけ押印しないわけにはいかないでしょう?
確かに、そうですね。えーっと、こっちが・・・角印、で、こっちが丸印でしたよね?
それ、逆だよ・・・
すみません・・・
そうだね・・・書類に直接書けないし、押印の種類を書いた付箋を貼ろうか。社長にも伝わりやすくなるしね。
はい。そうします。えぇっと・・・角印・・・丸印っと。じゃあ貰ってきます。
…………
もらってきました!ところで三毛課長、質問してもいいですか?
大丈夫だよ。
角印と丸印の違いは何ですか?
そりゃ丸いのが丸印で、四角いのが角印だろ。
見れば一発じゃねえか。
あっ確かにそうですね!
えっ
えっ
ハンコについて
ハンコ本体の正式名称は「印章」といいます。そして、印章を紙に押した朱肉のあとのことを「印影」といいます。
ハンコ本体のことを「印鑑」と呼ぶ方も多いですが、「印鑑」とは、役所に登録した印影のことを言うため、厳密には異なります。
今回は、ハンコ=「印章」についてご説明していきます。
丸印と角印の違い
先ほどの会話文にも出てきた「丸印」と「角印」の違いですが、上の会話文のとおり印影の見た目の違いです。ただし、利用目的が異なることが多いです。
・印影が丸いもの
・実印(代表者印)や銀行印として使用されることが多い
・印影が四角いもの
・認印として使用されることが多い
会社でよく使用される印章
会社でよく使用される印章には下記の3種類があります。
- 実印
- 銀行印
- 角印
実印
会社設立時に法務局に印鑑登録してあるものです。
代表者印と呼ばれることも多いです。
一般的には丸印で作成されるため、「丸印=実印=代表者印」と扱われている会社があります。
実印とは別に代表者印の認印を作成することもあります。
※認印・・・印鑑登録をしていない印章で、銀行印以外のものを指します。
代表者印の認印を作成する理由とは?
もしすべての書類に実印を使用し、何等かの理由で欠けたり、摩耗して印影がはっきり映らなくなったりすると、実印を作り直し、印鑑登録を変更する必要があります。
印影が不明瞭だと、印鑑との照合がとれなくなってしまうため、再度印鑑登録をする(印鑑を変更する)必要があります。印鑑登録の変更には、新しい印章と代表者の身分証明書と代表者の印鑑証明書が必要になるため手間がかかります。
その手間を減らすために、代表者印の認印を作成し、普段は認印、実印が必要な場合のみ実印を使用するという使い分けをするのです。
書類の押印は実印でなくてもいいの?
個人の場合でも、実印が必要となるのは不動産の賃貸借契約やリース等、保証が必要な取引をするときだけではないでしょうか?
つまり、ほとんどの方は日常的に使用する郵便物の受け取りや地域の回覧板には、認印を使用しているということになります。
会社も同様で、実印を押さなければ成立しない書類の方が限られており、社会保険の手続き等は認印でも問題がないのです。
銀行印
銀行口座を開設する際に必要となるものです。
実印を銀行印にされる方もいますが、すべての書類に実印を押すことになるため、不必要に実印の印影が出回ってしまい、偽造等の被害に遭うやすくなるため、別途作成することをおすすめします。
角印
印影が四角いものを角印と呼びます。
認印として使用されることが多いです。
角印は、社名のみを刻印することが多いため、会社印とも呼ばれます。
ただし、会社の印章はすべて会社印なので、押印を依頼する時は角印と呼ぶ方が間違いにくくなります。
その他のハンコについて
会社で使用するハンコは他にもあります。
ゴム印
社名、住所、電話番号等、よく書く会社の情報をあらかじめハンコにしておいて、手続きの簡略化を図ることを目的で作成されます。
組み合わせ印で使用しておくと、様々な形式の書面に対応できるので便利です。
社判
社判はハンコの種類というより呼び方です。一般的には、会社で使用する印章すべてを指します。ですが、会社によっては、社名のみの角印を社判と呼ぶ場合があります。
まとめ
印章の呼び方は、会社によって異なることがありますので、しっかり確認して押印ミスを防ぎましょう。
また、押印する書類が多い場合には、押印ミスを防ぐために付箋に書いておく方法や、押印申請書、押印を管理するための表(押印簿とも呼ばれる)等を作成・添付し、どの印影が必要なのかを明確にする等工夫が必要です。
なお、押印申請書や押印を管理するための表等の作成は手間ですが、社内の不正押印を防ぐ効果もありますので、おすすめです。