今回は、人事総務の道標~従業員の受け入れ準備についてです。
ヤス、和、おつかれ。ちょっといいか?
大丈夫だよ。
はい。どうかされましたか?
この前二次面接した、錆柄さん、採用しようと思うんだけど、どう思う?
錆柄さん、うん。少し経験不足感はあるけど、いい人材だと思うよ。
そうですね、真面目に仕事に取り組んでくれそうですし、いいと思います。
だよな。じゃぁ、決定で頼む。
了解。三毛くん。内定通知出しておいてもらえるかな。
承知しました。入社意思確認が取れたらご連絡しますね。
そっか、内定通知出したからって、来てくれるとは限らないんだよな……
もし入社を希望される場合、いつ頃から受け入れ可能ですか?
こっちはいつでも大丈夫だ。なんだったら明日でもいいぞ。
明日は無理だよ。人を雇うんだっていろいろ手続きってものがあるんだから・・・
なら、いつになるんだ?
次の給与締日以降でと考えていたのですが・・・
じゃあそれでいいや。頼んだ。
承知しました。錆柄さんにご連絡しておきますね。
あと、社内手続きの確認もしておいた方がいいね。
それでは、真白君にも手続き内容を教えておきたいと思うのですが、よろしいでしょうか?
そうだね。いい機会だし、お願いするよ。
承知しました。
手続きばっかでめんどくさそうだな・・・やっぱ、俺営業で良かったわ。
お、いいところに。真白君、ちょっといいかな。
はい。何でしょうか?
採用決定後にすること
採用業務は面接して終わり、ではありません。
採用通知(内定通知)を出して、入社の意思があるか確認する必要があります。
入社意思の確認がとれたら正式採用とし、入社日の調整を行います。
ですが入社日の調整の前に、社内で2つ確認しなければならない点があります。
- 社内の受け入れ態勢と社内手続き
- 社外の手続き
この2つを確認し、受け入れ可能日(最短入社日)を決定します。
確認すべき2つのこと
社内の受け入れ態勢と社内手続き
受け入れ態勢と聞くと、「人が欲しくて採用しているのだからいつでもOKに決まっている」と思われるかもしれませんが、新卒、中途に関わらず受け入れ日は意外とバタバタします。
そうすると、必要な手続きや今後の業務にあたり必要な説明が抜けてしまうことがあるのです。
そのようなことにならないように、必要な物や手続きはリスト化し、抜けがないようにしておく必要があります。
ですが、確認すべき社内の受け入れ態勢と社内手続きは、会社によって異なります。制服のある会社だと制服を準備するために服のサイズ等を聞いておく必要がありますが、私服勤務の会社であれば、その必要はないでしょう。
フリーアドレスの会社の場合、デスク下のキャビネットは不要ですが、バッグや日々使用する備品を収納する鍵付きのロッカーが必要になるでしょう。
このように、必要な物や手続きのリストは、会社や業務によって異なりますので、会社に合わせて作成するようにしましょう。
NYA事務所の場合
営業社員用 社内の受け入れ準備リスト
- 事務所の鍵
- 作業スペース(デスク、チェア)
- ノートPC
- オフィスソフト
- 携帯電話
- キャビネット
- 事務用品(ノート、ボールペン、蛍光マーカー、クリアファイル、ふせん)
- 名刺
- *シャチハタ(入社後準備)
社内手続き
- 入社承諾書
- 雇用契約書
- 就業規則(本人配布用)
- 人事制度説明資料
- 秘密保持誓約書
- 通勤経路申請書
- 銀行口座届出書
- 労働者名簿の作成
- マイナンバー管理表更新
- 勤怠システムへの登録
- 社内システムへの登録
- 社内メールアドレスの設定
- 扶養控除等異動申告書
- 入社時研修準備
社外の手続き内容
主な手続きは、社会保険と雇用保険です。その他、住民税の特別徴収切替手続きを行います。
手続きには、採用した人の雇用保険被保険者番号やマイナンバーが必要になりますので、手続きは入社後に行います。そのため、入社前に必要書類があるか確認し、入社後すぐに手続きができるように準備しておきましょう。
入社手続きを社会保険労務士の方に委託している場合は、委託先の社会保険労務士との間に手続きが必要な場合がありますので、必要な手続きを確認しておきましょう。
なお、中途採用の方は雇用保険被保険者番号を持っていますが、新卒の方は会社で新規取得する必要がありますので注意が必要です。
また、雇用保険被保険者番号やマイナンバーは本人しか知りませんので、出社当日に持ってくる持参品リストも作成しておき、予め採用者に伝えておきましょう。
入社日には下記をお持ちください。
- マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード
- 住民票(マイナンバー不要)
- 卒業証明書(新卒のみ)
- 雇用保険被保険者番号(雇用保険被保険者証可、中途採用者のみ)
- 源泉徴収票(中途採用者のみ)
- 住民税の払込票
まとめ
採用業務は、採用した人が入社するまで続きます。内定通知を出して終わり、ではないのです。採用決定後は、労務管理に向けての準備が必要になります。
そのため採用業務と労務管理業務が分かれている場合は、スムーズに受け入れられるよう、情報共有を怠らないようにしましょう。また、社内外の受け入れ手続きは会社によって異なりますので、従業員の受け入れ手続きはしっかり確認するようにしましょう。
入社手続きに抜けが多いと、採用した人が会社に対して不安を感じ、退職に繋がる可能性があります。せっかくご縁があって一緒に働くことになったのですから、長く働いてもらえるように、社内手続きで不安を与えてはいけません。
入社手続きをリスト化することにより、手続きもれの防止と進捗状況の管理が同時にできるようになりますので、業務効率も上がります。
採用される側も、入社するために準備をしています。採用や労務管理の担当者もしっかり準備をしておきましょう。