スキルアップの種:仕事のミスを減らす NYA事務所編
三毛課長、ずっと気になっていることがあるんですけど、聞いてもいいですか?
うん、いいけど・・・聞きたいことって何??
えーっと、三毛課長って、全然ミスしてる感じがしないじゃないですか・・・
そんなこともないと思うけど?
でも、茶縞部長からミスを指摘されてるのを見たことがないんですけど・・・
そう・・・かなぁ?う~ん。
それで、どうやったらミスが無くなるか、何か秘訣があるんじゃないかと思って…
どうやったらミスが無くなるのか、教えてもらえませんか?
う~ん、秘訣ってほどではないんだけど・・・私の考え方の1つを教えるね。
はい!お願いします!
私は、「人はミスをする。完璧な人はいない」って思っているの。
そうなんですか?
うん。そうだよ。「完璧な人はいないから、自分もミスをしているはず」って思っているから、ミスをしていないか、しっかり確認するクセがついたんだと思うの。
なるほど。
真白君、最初からミスがないものを作ろうとしていない?
そうです。だって、ミスがあるものを提出したら叱られるじゃないですか・・・
そう。「提出したら」ね。
?
ミスがあっても、ミスに気付いて提出前に修正できれば、叱られないよね?
確かにそうですね!
だから、「ミスをしているはず」と思って、しっかり確認してから提出するの。
なるほど。
ただね、自分が作った資料は、作成した内容が頭に入っているから、読み飛ばしたりして、ミスに気づきにくいんだよ。
じゃあ、ミスはなくならないじゃないですか・・・
うん。だから、表計算ソフトだったら、計算方法を変えて計算し直した値と照合したり…
期日より早めに作成して、翌日とか違う日に改めて確認したり…
ふむふむ
文字入力ソフトの文書校正機能を使ってみたり、チェックリストを作ったり…
印刷してゆっくり読んでみたり…
ふむふむ
そもそも業務を標準化してミスが起こりにくくしたり…
ふむふむ
色んな工夫をして、ミスしないように気を付けているんだよ。この考えを「エラーコントロール」って言ってね
エラーコントロール、ですか?
うん。そうだよ。エラー、つまりミスをコントロールして、ミスが起きにくい環境やミスが起きてもすぐに修正できるようにすることだよ。
なるほどそうだったんですね。なんか、意外です。
意外?
はい。何て言うか、地道な努力って感じで。
それはそうだよ。ミスは気を付ける以外ないもの。
そうですよね・・・
だからこそ、どうやってチェックをするか、どうやったらミスが起きない状況になるかを考えることが大事なんだよ。
なるほど。そうですよね。なんか分かった気がします。
役に立てたようで、良かったわ。
はい。ありがとうございました。
エラーコントロールとは
人間は、どれだけ注意していても、やらなければならないことを忘れてしまったり、受けた指示の内容を勘違いしてしまったりといったミスをしてしまう可能性をゼロにはできません。
だからこそ、「人は誰でもミス(エラー)をする」、「できる限りミス(エラー)をしないようにすること」に加えて、「ミス(エラー)による損失を少なくすること」を意識して業務を行う必要があります。
この考え方が、エラーコントロールです。
エラーコントロールの方法
ヒューマンエラーの低減(減らす)
人間はミスをしてしまうもの、という前提に立って、ミス(ヒューマンエラー)を未然に防止しようとすることです。具体的には、下記4つがポイントです。
- 作業工程数を減らす、やめてしまう
- 危険の程度を減らす
- エラーが誘発しにくい環境にする
- エラー誘発可能性を予測する能力を身に付ける
作業工程数を減らす、やめてしまう
作業工程を減らすことによって、そもそもミスの元となる作業が減るため、ミスが減るという考えです。
ただし、チェックの作業や、正確性や品質を保つための作業を減らしてしまうと、より大きなミスに繋がる可能性があるため、減らす・やめる作業を決定するためには十分な注意が必要です。
減らす、やめる作業を決定する際は、業務全体を整理し、余分に重なっている部分を確認してから行うようにしましょう。
危険の程度を減らす
エラーが誘発しにくい環境にする
思い込み、聞き違い、見間違いはミスのもとです。また、他の事に気を取られたり、体調が良くない状態で作業することでも、ミスを起こしやすくなります。つまりミスを起こす危険性が高い状態になります。
そのため、そのような状況を回避すればミスを起こす危険性が下がるため、ミスが減るという考えです。
たとえば、Bと13等、手書きの文字だと字のクセや文字の間隔で見間違えることも考えられるため、書面を電子化し、同一フォントで入力したり、BとD等発音だけでは聞き間違いやすい記号を品番として使用しない等、ミスを避ける工夫をすることで、ミスを起こす危険性を下げることができます。
また、自身の体調管理を行うことによって、業務に集中できるようになり、ミスの防止に繋がりますので、しっかり体調管理も行うようにしましょう。
エラー誘発可能性を予測する能力を身に付ける
あらかじめ、ミスをしやすい部分を予測して、その点を注意しておけばミスを防ぐことができるという考え方です。
たとえば、自身が作業していてミスをしたところは、他の人もミスをする可能性がある部分と考え、失敗経験=バットノウハウを共有することで、自分も、一緒に働いている人も同じミスをしないようにすることができます。
また、自分が作業していて、間違いかけたこと、間違いやすいと感じたところも注意喚起をすることでもミスを防ぐことができます。
はじめは気づくことができなくても、業務を繰り返し経験したり、幅広い業務を担うことにより、予測能力は磨かれていきますので、日々の業務を注意深く観察するようにしましょう。
エラーによる損失を小さくする
細心の注意を払ってもエラー(ミス)をしてしまうこともありますし、また、状況や環境によっては、エラー(ミス)の原因を取り除けなかったり、ミスをする確率を低減できなかったりします。そのため、エラーが発生したときの損害を想定し、エラーが起こってしまった場合の対応策を考えておくことで、エラーによる損害を小さくすることができます。具体的には、下記4つがポイントです。
- エラーを自分自身で発見できるよう工夫する
- エラーを検出する仕組みを考える
- 相互チェックを行う
- 代替手段を準備しておく
エラーを自分自身で発見できるよう工夫する
エラーを検出する仕組みを考える
上記の会話の例において、三毛さんが話していたように
- 表計算ソフトの場合、計算方法を変えて計算し直した値と照合する
- 別の日に改めて確認する
- チェックリストを作成する
等、自分自身でミスを発見するよう工夫したり、エラーがどこにあるのか分かるような仕組みを考えることで、もしミスがあっても、早い時点でミスを発見して修正することができるようになります。
早い時点でミスの修正ができるということは、損害が最小限で済むということに繋がりますので、自分の作業を振り返り、ミスを発見する仕組みを考えてみましょう。
相互チェックを行う
自分の作成したものは、作成した内容を覚えているため、ミスを見落とす可能性が高くなります。
そのため、自分以外の誰かにチェックをしてもらうのも良い方法です。
例えば、個人情報や機密情報、正確性を要するデータ等においては、ダブルチェック、トリプルチェック等により、正確性を担保する仕組みを作っておくとよいでしょう。
代替手段を準備しておく
もし、現行の問題解決策では対処しきれなかったときのことを鑑み、別の解決策を準備しておくことにより、損害の拡大を防ぐことができます。
そのため、ミスへの対応策は出来る限り複数持っておくようにしましょう。
まとめ
人間はミスをしてしまうものです。ですが、ミスは自分で見つけ、修正することが可能なことの方が多いのです。
自分の業務を過信せず、しっかり見直し、ミスを防いでいきましょう。