今回は人事総務の道標:「労務」業務 についてです。
人事の業務「労務」とは NYA事務所編
真白くん、今いいかな?
はい。大丈夫です。
錆柄さんの受け入れ準備、どこまで進んだ?
リストがあるのでそのままお見せしますね。
確かこの辺に……
ありました、これです。
社内準備リスト(営業用)
- 事務所の鍵
- 作業スペース(デスク、チェア)
- ノートPC
- オフィスソフト
- 携帯電話
- キャビネット
- 事務用品
- 名刺
- シャチハタ(入社後準備)
社内手続きリスト
- 入社承諾書
- 雇用契約書
- 就業規則(本人配布用)
- 人事制度説明資料
- 秘密保持誓約書
- 通勤経路申請書
- 銀行口座届出書
- 労働者名簿の作成
- マイナンバー管理表更新
- 勤怠システムへの登録
- 社内システムへの登録
- 社内メールアドレスの設定
- 扶養控除等異動申告書
- 入社時研修準備
うんうん。入社前にできる準備は労務管理に関するもの以外は終ってるのね。
労務管理って、どの業務だっけ?
真白くん、念のために確認するけど、労務管理ってどんな仕事か分かる?
えーっと・・・入社手続きとか社会保険の手続きとか、遅刻とか労働時間の集計・・・ですよね?
そうだね。でもちょっと足りないかな。
足りないですか……
真白くん、勤怠の集計って何のためにしてると思う?
ちゃんと仕事してるか確認するためとか……?
うん。それも大切だね。他に思い付くものある?
うーん。会社に来てるか、勝手に帰ってないかとか、ですか?
うん。それもあるね。でも何か大事なこと、忘れてない?
うーん・・・
給与計算だよ。
あ、なるほど。
欠勤や遅刻、早退、有給取得とかは全て給与計算に必要な情報なの。
そうですよね。
だから、しっかり管理する必要があるんだよ。
はい。そのための勤怠システムですよね。
そうだよ。じゃあ、今から勤怠システムと社内システムへの登録方法を教えるね。
はい。お願いします。
あと、雇用契約書は私が作るから、後で労働者名簿を作っておいてね。
わかりました。
人事の業務とは
人事は、大きく分けると下記4つの業務に分かれるとお伝えしたと思います。今回は、「3.労務」についてご説明していきたいと思います。
「3.労務」業務とは
労務と聞くと、従業員を採用したり、従業員が退職したりする時に必要となる入社・退社に関する業務や給与計算を思い浮かべることが多いのではないでしょうか。しかし労務には、従業員を雇用している間も継続して発生する重要な業務があります。
それは、労務管理と従業員を雇用し続ける為に必要な様々な手続きです。
なお、労務の主な業務は下記のとおりです。
- 入社退社手続き
- 社会保険関係手続き
- 労務管理
- 給与計算
- 労使トラブルの解消
- 就業規則の作成、見直し
入社退社手続きと社会保険関係手続きについて
従業員を採用したときや従業員が退社したときには、様々な手続きが必要になります。
手続きは会社によって異なりますが、一般的には下記業務を行います。
入社時
- 雇用契約書の締結
- 社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)手続き
- 雇用保険の加入手続き
- 住民税の特別徴収手続き
- 就業規則の説明
- 労務管理に必要な書類の受け渡し
退社時
- 退職願の受領
- 退職時期の調整
- 社会保険、雇用保険の喪失手続き
- 退職手続きで発生する書類の送付先確認
労務の手続きは、社内だけに止まらず、社会保険や雇用保険の手続き等の社外手続きも必要になります。社外の手続きには期限がありますので、各手続きの期限を確認し、期限内に手続きができるように早めに準備しておきましょう。
労務管理と給与計算について
労務管理とは、賃金(給与)や勤怠、労働時間など、従業員の労働に関することを管理する業務です。具体的には、下記のものがあります。
- 勤怠と労働時間の管理
- 給与計算
- 社会保険手続き
- 雇用保険、労災保険手続き
会社に雇用されると、労働の対価として毎月賃金(給与)が支給されます。つまり、給与計算業務は毎月必ず発生する業務=月間ルーティン業務であるということです。
また、給与計算のために、勤怠(出勤、欠勤、遅刻、早退、有給休暇の取得など)や、労働時間の管理も必要となります。
そのため、勤怠システムを導入したり、管理表を作成したりして、従業員の勤怠や労働時間を管理する必要があるのです。また、社会保険や雇用保険、労災保険の手続きについては、年に1度必要になる手続きと、給与額に変更があった場合や、従業員のライフイベントに応じて必要となる手続きがあります。入社時に手続きして終わりではありませんので手続きもれに注意しましょう。
その他の業務について
社内外の手続きや労務管理以外の業務としては、労使トラブルの解消や就業規則の作成、見直しがあります。ただし、労使トラブルの解消や就業規則の作成には法律の知識が必要になるため、社会保険労務士等の専門家に委託することも多いです。
労使トラブルの解消
従業員と会社間のトラブルは、従業員が離職する原因の1つです。
そのため、できるだけ早期に解消する必要があります。特に労働環境についてのトラブルは、従業員の身体、生命に関わることもあるため早急に対応するようにしましょう。
就業規則の作成、見直し
常時10人以上の従業員を雇用している場合、労働基準法第89条1項により就業規則の作成が義務付けられていますので、従業員が10人に達することが予想される時点(採用により10人に達する場合など)で就業規則を作成する必要があります。
また、法律の制改定により就業規則の見直し、変更が必要になることがあります。
なお、就業規則を作成したときや就業規則を見直し、変更した場合には、所轄の労働基準監督署長への届出の必要がありますので、届出もれに注意しましょう。
就業規則も作成して終わりではありません。常に法律の制改定に気を配っておくようにしましょう。
まとめ
労務業務は、法律などの専門知識が必要になるため、会社によっては、社会保険労務士等の専門家に委託している場合があります。
労務担当になった場合は、必ず業務の範囲を確認するようにしましょう。
なお業務としては、社内外の手続きと毎月の給与計算がメインになります。
また、年に1度必要な業務=年間ルーティンや、毎月必ず発生する業務=月間ルーティンなど、業務の時季が決まっているものが多いのも特徴です。
そのため、業務カレンダーを作成する等して、業務に遅れやもれが出ないよう注意しましょう。