スキルアップの種:人事考課(人事評価)について NYA事務所編
真白くん、ちょっといいかな?
はい。大丈夫です。
来週、人事面談をする予定なんだけど、考課シート書くの初めてだよね?
・・・効果シート??
はい。初めてです。どんな効果があるんですか?
そうだね、業務処理速度とか、業務の正確性とかがあるよ。
何かレベルアップしそうですね。
レベルアップ?
ちょっといいかな?三毛君。真白君、たぶん勘違いしてるよ。
え?
真白君、考課って「ききめ」って意味じゃないんだよ。
え?そうなんですか?
……
考課シートの「考課」はね、「1年間の勤務成績を考慮してつける」って意味なんだよ。
なるほど、そうだったんですね。
だから考課シートは、いわば「通知表」みたいなものなんだ。
通知表、ですか。
うん。先に真白君が、この1年間がんばったこととか、苦手だったところとかを自分で振り返ってみて点数をつけて……
はい。
そのあとで、僕と三毛君も、真白君の仕事ぶりを振り返って点数をつけて・・・
はい。
その点数を一緒に見て、お互いの認識のずれを無くしたり、今年の目標とかを決めるんだよ。
なるほど。
人事考課シートはね、君の得意な部分と不得意な部分が点数として表示されているんだ。
だから、「通知表」なんですね。
そうだよ。点数の低いものが「苦手」な部分、点数の高いものが「得意」な部分ということなんだ。
なるほど、分かりやすいですね!
そうだろう?だから僕たち上司と一緒に人事考課シートを見て・・・
はい。
これからどの部分を頑張って行けばいくか、どの部分をもっと伸ばしていくかを相談して決めて1年かけてレベルアップをしてもらおうっていうのが、人事面談だよ。
なるほど。わかりました。
ははは。よかったよ。
茶縞部長、真白君の勘違いに気づけなくて、申し訳ありませんでした・・・
うんうん、本当はもう少し見てようかと思ったんだけどね。面白そうだから。
面白そう……
……
真白君も音だけじゃわからないよね。三毛君だって、面談の話をしていたら「ききめ」だとは思わないだろうし。
早めにご指摘いただけて、助かりました。
でも、真白君の「レベルアップ」という表現も間違いではないよね。
確かに、言われてみればそうですね。
じゃぁ、真白君は、三毛君から考課シートをもらって今週中に提出してくれるかい?
はい。分かりました。
三毛君、あとは任せたよ。
はい。承知しました。
面談では、これからいい「効果」が出せるように、しっかり話すことにしようか。
はい。
・・・考課?効果?
人事考課(人事評価)とは
会社に採用されると、定期的に「人事考課」または「人事評価」を受けることになります。
人事考課は、昇給や降給、昇格や降格、配置転換等を決めたり、考課期間中の勤務実績や能力を評価したりするために行われることも多く、従業員数が多い会社ほど時間がかかります。
また、人事考課または人事評価をするために人事面談を実施する会社も多くあります。
「考課」や「評価」をする側も、される側も時間と手間がかかり、時季によっては業務を圧迫したり、人事面談で叱られたり、役職に就くことで仕事が増えたりすることもあるため、「人事考課」や「人事評価」を嫌う方も結構います。
では、なぜそのような手間をかけて、人事面談を行うのでしょうか。
少し考えていきましょう。
考課期間について
考課期間は会社によって異なりますが、多くは6カ月か1年です。
短いところでは3カ月ごとに行う会社もあります。
期間は、就業規則または雇用契約書で定められていますので、雇用された時に必ず確認しておきましょう。
※「人事考課」と「人事評価」は厳密には意味が異なります。この説明はまたの機会に行います。
人事考課を行う理由とは
※ここからは、「人事考課」という言葉に統一して書いていきます。
人事考課は、上のNYA事務所での会話にもあるように、考課期間中(NYA事務所の例では1年)の業務成績や能力を数値化することにより、従業員の得意・不得意を明確にし、今後の成長を促すことが目的の1つです。
そして、人事考課の項目は、点数が高いほど「会社が求めている人」または「求めている業務遂行レベル・スキルレベル」になっていることが多いです。
つまり、人事考課の考課項目を見れば、従業員にどのようになってほしいかが分かります。
人事考課で満点を取れる人=会社が求めている理想の人、ということです。
だからこそ、会社で評価されるには、人事考課の項目をよく読み、会社がどのような業務遂行レベル・スキルレベルを求めているのかを知ることが重要なのです。
また、自分は「できている」と思っていても上司から見ると「足りない」や自分は「まだまだ」だと思っていても会社からすると「十分よくできている」など、自己評価と周囲の評価との認識のズレを正すことにも役立ちます。
そのため人事考課の結果は、自分の業務遂行レベル・スキルレベルの把握と今後のキャリアプランを考えたり、スキルアップを目指したりするための重要な情報となるのです。
まとめ
人事考課で得意・不得意を明確にすることで、不得意なものを得意にするよう努力・工夫することができたり、得意なことをもっと伸ばすことができるようになります。
また、将来のキャリアプランを考えるためにも、今の自分の実力を知っておくのは良いことです。
人事考課はスキルアップの種です。人生100年時代、周りに評価されるためにも、しっかり自己分析をし、不得意なものを少しずつ減らしていきましょう。