雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)により、事業主はセクシュアルハラスメントを防止するだけでなく、労働者からの相談に応じるために必要な措置を講じなければならないと定められています。
そのため、必要な措置を講じなかった場合、より大きな問題に発展してしまうかもしれません。
NYA事務所でも、「セクシュアルハラスメント」について話し合っているみたいですよ。
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ねこさん、ヤス、ちょっと時間くれないか?
そうね・・・30分後なら構わないわよ。1件連絡入れなきゃいけないから。
僕も、そのくらいの時間が欲しいかな。
じゃあ、30分後によろしくな。
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で、どうしたの?改まって。何か大きなミスでもしたの?
いや、そういうんじゃないんだけど、、、
何か、歯切れが悪いね。何かあったのかい?
いや、何て言うのか、取引先の担当者が代わったんだよ。
それは、よくある事じゃない?
うんうん。そうですよねぇ。
まぁ、ただの担当者変更だったらそうなんだけどさ。この時期にか?と思って。
たしかに、人事異動の時期ではないわよね。
あぁ。だからちょっと気になってな。新任の人に理由を聞いてみたんだ。
え?普通、聞くかい?
ストレートに、御社の異動ってこの時期でしたっけ?って聞いたぞ。
そう。それで?
セクハラ騒ぎを起こして、自主退職。らしい。
はぁ?
え?
前任者とは、結構フランクに話せて感じも良かったんだけどなぁ・・・セクハラするヤツだなんて思ってもみなかったよ。
それで、鍵尾くんがショックを受けてるの?
驚きはしたけどな。どっちかっていうと、新任担当者に聞かれたことの方が返答に詰まったわ。
幸さんが返答に詰まるって、何を聞かれたの?
御社はどのようなセクハラ防止対策をされていますか?って。
はぁ・・・何で、そこで返答に詰まるのよ?セクハラ防止セミナーを三毛さんにしてもらったじゃない。
就業規則にも、セクハラ・パワハラの禁止を規定しているよ。
専用のメールアドレスを作って、窓口は総務部に置くってことも、セミナーで周知したはずよ?
ぱっと出てこなかったんだよ・・・
じゃあ、何て答えたんだい?
えーっと、総務が色々やってますよって。
・・・それって、つまり、この会社は何もしてないって言っているのと同じじゃない?
すまん・・・
何かはしているけど、何しているか分からないってことは、周知できていないのと同じだからねぇ。
すまん・・・
日々、セクハラに対する認識が甘いんじゃないの?前から言ってるでしょ?従業員を名前で呼ばないでって。
それは・・・でも、和にも、賢にも、嫌じゃないか聞いたぞ。
幸さん・・・上司から「嫌か?」って聞かれて、素直に「嫌」って言えると思うかい?
う・・・
まぁ、嫌がっているようには見えないけど、念のため、茶縞くんからも聞いておいてくれる?
了解です。
鍵尾くんは、再研修よ。
謹んで受講いたします・・・
職場におけるセクシュアルハラスメントとは
職場におけるセクシュアルハラスメントとは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることを言います。(男女雇用機会均等法 第11条第1項)
事業主が講ずべき10の措置
事業主は、セクシュアルハラスメントを防止するために10の措置を講じなければいけないと、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」で定められています。
【講ずべき措置1~2】事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
- 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
- セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
【講ずべき措置3~4】相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 相談窓口をあらかじめ定めること。
- 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。
【講ずべき措置5~8】職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
- 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
- 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。
- 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
- 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)
【講ずべき措置9~10】1から3までの措置と併せて講ずべき措置
- 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
- 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
【出典】
厚生労働省 都道府県労働局雇用均等室 資料
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/00.pdf事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)【令和2年6月1日適用】
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605548.pdf