言葉遣い@ビジネス 2:「幸いです」の使い方

wordchoice 言葉遣い

マナーOJTインストラクターの國吉浩太朗です。
今回も、ビジネスでよく使われる「幸いです」の使い方についてご説明していきたいと思います。

この「幸いです」も、前回の「言葉遣い@ビジネス 「存じます」の使い方」と同様に、言葉の意味を考えずに使ってしまうと、自分の伝えたいことが正しく相手に伝わらず、トラブルに発展してしまう可能性があるのです。

では、同じように「幸いです」の言葉の意味から見ていきます。

「幸いです」の意味

実用日本語表現辞典を引いてみると、「幸い」の意味は

その人にとって望ましく、ありがたいこと。また、そのさま。しあわせ。幸福。

と出てきます。「です」は「だ」の丁寧表現ですから、「幸いです」は単純に「うれしいです」という意味ですね。

「幸いです」を使用するときの注意点

「幸い」だと、トラブルに発展することがある

あまり厳しい表現を使いたくないという思いから、「幸いです」を使用してしまうことがあります。ですが、「幸いです」と書いてしまったことにより、トラブルに発展することがあります。

Bにつきましては、本日が納期となっておりますので、本日中にご納入いただけますと幸いに存じます。

この文を簡単な言葉になおしてみましょう。

Bは、今日が納期だから、今日中に納入してくれるとうれしいなと思います。

です。

今日納期なのに、今日納入してくれるとうれしいな?
……こっちは忙しいし、ちょっとくらい納期が遅れてもいいってことだよね?

こう解釈して納期を遅らせようとする人もいるかもしれません。

自分が言葉を使い間違えたために、納期が遅れてしまい、その商品を購入するお客様にもご迷惑がかかり、取引がなくなり、最終的に会社が倒産する、なんてこともあり得ないとは言い切れません。

「幸い」だと、して欲しいことをしてもらえないことがある

丁寧な文章を書こうとして、つい使ってしまう「幸いです」ですが、「幸いです」は、「うれしいです」や「ありがたいです」という意味なので、何かを必ずしてもらわないといけないときには使用しない方がいいです。

ご返信いただけますと幸いです。

このように書いてしまうと、返信しても、しなくてもいいのかな?と、捉えられてしまうかもしれません。特にアンケートメールなどだと、ついつい後回しにしてしまい、受け取った側も忘れてしまう、なんてこともあります。

必ず返信してもらいたいときは下記のように、「返信してほしい」ことが伝わるような文章を書くようにしましょう。

お手数をおかけし誠に申し訳ございませんが、ご返信をお願いいたします
お忙しいところ恐れ入りますが、ご返信をお待ちしておりますのでよろしくお願い申し上げます。

トラブルを回避するには

慣れない敬語でいきなり文章を作ると、自分でも伝えたいことをしっかりとまとめきれずに、言葉の書き間違いをしたり、文と文のつながりが悪いメールだと意図しない読み方をされて、トラブルの原因になります。

そうならないためにもメールの書き方:Step1 メールを作る「3つ」の手順でもお伝えしたように、普段使う言葉で一度作ってしまえばいいのです。

最初に普段使う言葉で文章を作っていれば、こうはならないと思いませんか?たとえば、「納品してください」という言葉をどうような文章にしようか悩んだときには、普段の自分ならどのように伝えるか考えてみましょう。

Bは今日が納期だよ。忙しいとは思うけどよろしくね。

このような文章になるのではないのでしょうか?
あとは、敬語に直すだけなので簡単ですね。

Bにつきましては、本日が納期となっております。お忙しいところ恐れ入りますが何卒よろしくお願い致します。

まとめ

「幸いです」も間違えると使い方を間違えると大きなトラブルになる可能性があります。言葉遣い@ビジネス 「存じます」の使い方でもお伝えしている通り、伝えたいことはハッキリ伝えられる文章を書くようにしましょう。

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