マナーOJTインストラクターの國吉浩太朗です。
今回もビジネスでよく使われる「ご教示」の使い方についてご説明します。
では、前回と同じく、言葉の意味から見ていきましょう。
「ご教示」の意味
「ご教示」は教え「示す」
きょう‐じ〔ケウ‐〕【教示】
[名](スル)《「きょうし」とも》知識や方法などを教え示すこと。示教。「御教示を賜りたい」出典:デジタル大辞泉(小学館)
ビジネスでは基本的に「ご教示」を使用する
「知識や方法などを教え示す」ということですから、単に「知る」というイメージでとらえていただければわかりやすいと思います。
ミーティングや商談の日程調整、内容に関する問い合わせ、手続きの確認など、何らかの情報を聞く場合には「ご教示」を使用しましょう。
「ご教示」の使用例
実際にビジネスメールで使用した「ご教示」の文をいくつかご紹介します。
相手の予定を確認したいとき
- 来週以降で〇〇様のご都合の良い日をご教示いただけませんでしょうか。
資料の内容について問い合わせたいとき
- 2点お伺いしたい箇所がございましたのでお手数ですが、ご教示いただけますでしょうか。
1.~~について・・・
2.~~について・・・
複数ある資料のどれに記載されているかを確認したいとき
- どの書類に記載されているか、ご教示いただけませんでしょうか。
教えてもらったことついて返信するとき(冒頭のあいさつ)
- この度は、〇〇につきまして、ご教示いただきありがとうございました。
今後の手続きを知りたいとき
- 今後の手続きの流れ等、ご教示いただけますでしょうか。
書類の送り先を知りたいとき
- 申込書の準備が整いましたので、どちらへお送りすればよいかご教示いただけますでしょうか。
よく誤用される「ご教授」
「ご教授」は教え「授ける」
きょう‐じゅ〔ケウ‐〕【教授】
[名](スル)1 学問や技芸を教え授けること。「書道を教授する」
2 児童・生徒・学生に知識・技能を授け、その心意作用の発達を助けること。
3 大学や高等専門学校・旧制高等学校などで、研究・教育職階の最高位。また、その人。「大学教授」
出典:デジタル大辞泉(小学館)
ビジネスでは使う頻度は少ない
こちらは教え「授ける」ということですので、「習う」「学習するために教えてもらう」というイメージです。
ビジネスでは、専門家にセミナーや講習をお願いする場合や専門知識を習う(教えてもらう)場合に使用します。
つまり、限定的な場面でしか使わない言葉ですので、使う前には本当に「ご教授」が正しい場面か確認しましょう。
誤用例
このような文章を、たまに見かけます。
……打ち合わせが可能な日程を、ご教授いただけますでしょうか。
「ご教授」をその言葉通り解釈すると、「打ち合わせが可能な日程とはどういうものなのか」という定義や性質について教える必要がでてきてしまいます。
本来聞くべきは打ち合わせができる日時ですから、「ご教示」を使用するのが正しい表現です。
「意図が通じれば問題ない」というわけではない
「ご教授」と「ご教示」、どちらも普段の言葉でいうと教えてもらう、という意味です。なので使い間違えたとしても、ほとんどの方はこちらの言いたいことを察してくれます。
そのため問題ないように思うかもしれませんが、「説明が下手な人」という印象を持たれているかもしれません。
それだけでなく、相手が察してくれることに甘えていては言葉の選び方が上達せず、前回の「幸いです」、前々回「存じます」でお伝えしているような問題が起こってしまうかもしれません。
敬語を使うときには、言葉の意味にも気を配りましょう。
それがマナー、相手への気遣いですよ。