今回は、ワンランクアップメール術として、「同じ表現はできるだけ避ける」についてご説明していきたいと思います。
はじめに
茶縞くん、三毛さん、ちょっといいかしら?
おつかれさまです、社長。
はい。
招社長。お疲れ様です。
おつかれさま。
さっき転送したメールは読んだ?
読みましたよ。
はい。確認いたしました。
あのメール、どう思った?
えーっと、取材についてですか?
違うわよ。文章よ、文章。
文章ですか?
あの文章は問題ですね。
同じ表現が多く、言葉遣いの間違いもありました。
そうね、
ちょっと…ひどわよね。
ものすごく気を遣って、相手を持ち上げようとしている
ってことは分かるんですが…問題ですね。
それで、呼んだのは、確認なんだけど。
うちの会社は、あんな文章送ってないわよね?
えっと…
以前営業メールを見たことがありますが、
普通でしたよ。
はい。
この前、錆柄さんから言いまわしの確認がありましたし、
気をつけていらっしゃると思いますよ。
そう…だったらいいんだけど。
念のため、鍵尾くんと錆柄くん、読んできてもらえるかしら?
はい。
かしこまりました。
・・・
ねこさん。おつかれ。
おつかれさまです。
おつかれさま。悪いわね。
おう。大丈夫だ。
で、何があったんだ?
このメンツ…何かヤバイことか?
大したことじゃないわ。
悪いんだけど、このメール見てもらえるかしら?
あぁ。
えーっと、ナニナニ?
承知しました。
えーっと…
この度、貴社WEBサイトのご情報や過去のご情報等を拝見させて頂きまして、
代表様に是非、我々の運営するWEBメディアサイトへご登場ための
インタビューをさせて頂くことをご縁にお会いさせて頂きたくご連絡
させて頂きました。
・・・・・
私のご連絡先は下記ですので、改めてご連絡させて頂けますと幸いです。
詳しくご説明させて頂きます。
これをご機会にご縁を頂けますと幸いです。
代表様からのご連絡を伏してお待ちしております。
なんだこのメール?
こんな文章じゃ提案が入ってこないぞ。
言いたいことは分かりますが…
これは…なんと言いますか…
良かったわ。
その反応なら安心ね。
どういう意味だ?
うちの会社の営業メール、最近見ていなかったから。
どんな反応するかと思って。
あのさぁ、ねこさん。
俺の文章知ってるだろ?
付き合い長いんだからさ。
そうだけど…
これ見ると不安にならない?
まぁ、なぁ…
それも分からんでもないけどな…
送られてきたメールの問題点とは?
じゃあ、このメールの問題点を挙げてみてくれる?
はい。
大きくは3つです。
同じ言葉、同じ意味の言葉が多いこと
言葉の表現が不適切なこと
言葉の使い方が間違っていること
です。
そうね。そのとおりだと思うわ。
ポイント1:同じ言葉、同じ意味の言葉が多い
じゃぁ1つ目、誰か指摘してみてくれる?
はい。では僕から。
「させて頂く」が多い点です。
丁寧な表現を心がけたのだと思いますが、少し多い気がします。
2つ目の文章は改行があるとはいえ、読点「、」がないな。
3行で1文は長いすぎるぞ。
どこかで切って2文にした方がいいな。
WEBサイトのご情報や過去のご情報
ここも気になるねぇ。
社長は外部のインタビューに出ていないから、社長の情報は
当社のWEBサイトしかないはずなんだ。
つまり同じことを指しているよね。
私は「幸いです」という表現が気になります。
この言葉も丁寧な表現で良いものなのですが、
1つのメールの中に2つ使うのは多いと感じます。
あと、「ご連絡」も3つあるな。
できれは1つは表現を変えたいところだな。
この度、貴社WEBサイトのご情報や過去のご情報等を拝見させて頂きまして、
代表様に是非、我々の運営するWEBメディアサイトへご登場ための
インタビューをさせて頂くことをご縁にお会いさせて頂きたくご連絡
させて頂きました。
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私のご連絡先は下記ですので、改めてご連絡させて頂けますと幸いです。
詳しくご説明させて頂きます。
これをご機会にご縁を頂けますと幸いです。
代表様からのご連絡を伏してお待ちしております。
同じ言葉、同じ意味の言葉が多いと起こる問題とは
ふむふむ。1つ目はそんなところね。
じゃぁ、同じ言葉の多用がなぜ問題になると思う?
読みづらくなる
単純に読みづらくなるからではないでしょうか。
書かれている情報が多くなるため、必要な情報・不必要な情報の
取捨選択に時間がかかってしまいます。
まぁ、それもあるが、
読みにくい文章ってことは、伝わりにくい文章
になってるから問題なんだ。
営業で、言いたいことが伝わらないなんて、
仕事にならないだろ。
そうだね。
メールもコミュニケーションの1つだから。
読みづらい=聞きづらいってことだからね。
おっしゃるとおりです。
読みやすく、丁寧に、を心がけないといけませんね。
緊急度が伝わりにくい
はい。
あとは「緊急度」の問題ですね。
そうね。その問題もあるわよね。
同じ表現が悪いわけではないんだけど、
レベルの書き分けには語彙力が必要だものね。
レベルの書き分け、ですか?
えぇ。たとえば
・絶対やってほしい
・できればやってほしい
・やってくれると嬉しい
この3つ。
はい。
この3つすべて「お願いします」という表現にすると、
どの程度「やってほしいのか」のかが伝わらないでしょ?
つまり、緊急度が伝わりにくいのよ。
確かにそうですね。
この「緊急度」の書き分けには、語彙力というか、
言い回しのバリエーションが必要なの。
自分の思っていることを正確に伝えるには
自分の思っていることを正確に書き表す能力
が必要になるんだよ。
なるほど。
そういうことだったんですね。
勉強になりました。
稚拙に見え、説得力に欠けることがある
あとは単純に語彙力だよな。
業務連絡には必要ないが、
メールは会話と同じだからな。
同じ言葉の繰り返しは稚拙に見える。
そうですね。
稚拙な文章だと説得力に欠ける時があるので
ビジネスとしてはかなり問題になります。
そうね。説得力大事だわ。
たとえば…って
例えるものを多く知っていると、
分かってもらいやすくなるものね。
たとえ話は経験からくるものも多いですが
その経験を文章化・言語化するのは「語彙力」
なので結局は「語彙力」に尽きますね。
そうですね。
伝えるべきこと伝えられるように
務めていきます。
まとめ:同じ言葉、同じ意味の言葉が多い
今回のメールには問題点が3つありました。
- 同じ言葉、同じ意味の言葉が多いこと
- 言葉の表現が不適切なこと
- 言葉の使い方が間違っていること
そして、「1.同じ言葉、同じ意味の言葉が多いこと」で起こる問題は下記とおりです。
書かれている情報が多くなるため、必要な情報・不必要な情報の取捨選択に時間がかかってしまい、結果、読みづらく、伝わりにくい文章になる。
同じ表現だと、緊急、困っている度合いが伝わりにくくなってしまう。
ものすごく困っているのに、「よろしくお願いします」だけで伝わるかどうか。
同じ言葉の繰り返しは稚拙に見え、説得力に欠けることがある。
いずれも、「伝えたいことを正しく伝える」ために必要な配慮です。
なお、同じ言葉、同じ意味の言葉を避けるためには、「語彙力(ボキャブラリー)」を鍛えることが大切です。
語彙力を伸ばし、伝わりやすく、説得力のある文章を心がけましょう。
2.言葉の表現が不適切なこと
3.言葉の使い方が間違っていること
は次回ご説明します。