今回は、ビジネスメールのポイント 2:クッション言葉を使用する です。
お話は前回の内容「ビジネスメールのポイント 2:日程調整メールのポイント」の続きです。
課長、書き直してきました。確認をお願いします。
うんうん。良くなってきたね。でも、あとちょっと足りないかな。
え?7つの要素も日付も書きましたけど、まだ何か書かないといけないことがあるんですか?
書かないといけないっていうわけではないんだけどね。真白くん、「クッション言葉」って聞いたことある?
「クッション言葉」ですか?枕詞なら「ちはやぶる」とか、百人一首で聞いたことありますけど・・・
枕詞には、前置きの言葉という意味もあるから間違ってはいないよ。「クッション言葉」っていうのは、「ビジネス枕詞」という人もいて、前置きに使って、相手への気遣いを表す言葉なの。
気遣いを表す言葉・・・うーん、「おつかれさまです」、だと挨拶っぽくて前置きって感じじゃないですし、ちょっと違いますよね?
そうだね。じゃあ・・・例えば、友達に飲み物買ってきてってお願いするとき、真白くんならどんな風に言う?
えーっと。「悪いんだけど、飲み物買ってきてくれない?」とかですかね。
その、「悪いんだけど」が「クッション言葉」だよ。
そうなんですか?僕も「クッション言葉」使ってたんですね。
私も、真白君に急な買い出しをお願いするとき、「悪いんだけど、急ぎで行ってきてもらえないかな」とか言っていると思うしね。実は、意識していないだけで普段、よく耳にしているはずだよ。
そう言われてみれば、そんな気がします。
「クッション言葉」を使用せずに、「急ぎで買い出し行ってきて。」って言われると、真白君は正直どう感じる?
買い出しも仕事なので行きます。けど、ものすごく忙しい時に言われたら、「え~・・・僕?」って思ってしまうかもしれません・・・
そうだよね。私も正直そう思う。あんまり、いい印象じゃないしね。でも、「ごめん、今から会議で買い出し行けそうにないの。悪いんだけど行ってきてもらえない?」って言われたら?
「分かりました。行ってきます!」って、素直に思えると思います。
そうだよね。その違いを生み出すのが「クッション言葉」なの。ビジネスでは、相手に良くない印象を与えてしまうと、取引がうまく進まなくなることがあるから、印象の良い言葉を使うように意識しないといけないんだよ。
なるほど。分かりました。
ちなみに、「悪いんだけど」は敬語じゃないから、ビジネスメールでは使えないよ。ビジネスメールでは、「申し訳ございませんが」とか「お手数ですが」、とかの表現を使ってね。
はい。分か・・・ええっと敬語は・・・承知しました。
そうだね。敬語を使うなら「承知しました」のほうがいいね。じゃあ、今回のメールはどう修正すればいいと思う?
予定を3つ教えてもらう、えーっと、返事をしてもらわないといけないので、「お手数ですが」を使おうと思います。
うん。それで大丈夫だよ。修正してきてもらえるかな。
承知しました。
クッション言葉とは?
クッション言葉は”気遣いの言葉”
クッション言葉とは、前置きに使って、相手への気遣いを表す言葉をいいます。そのため、「ビジネス枕詞」と呼ばれることもあります。
相手に要望を伝えるときに用件のみを書いてしまうと、送る側はただ単に伝えたいことを伝えているだけでも、メールを読んだ人が「冷たい印象だ」と感じてしまったり、「絶対にしなくてはならないのかな?」と思ってしまう場合があります。
そこで、本題に入る前に「クッション言葉」を使って相手が受け取る印象がやわらかくなるようにします。
クッション言葉の例
- 恐れ入りますが
- お手数をおかけしますが
- ご面倒をおかけしますが
- 申し訳ありませんが
- 差し支えなければ
これらは一例ですので、状況にあわせて意味があうものを選びます。
クッション言葉の使用例(納期調整)
NG例
例えば下の文章だと確かに伝えたいこと(用件)は伝わりますが、淡々としていて印象が良い文章とは言えません。
OK例
上の文章にクッション言葉を加えて、印象の良い文章にしてみましょう。
いかがでしょうか?ずいぶん印象が変わったように見えませんか?
このように、「クッション言葉」を使用することで、印象の良い文章を作成することができるようになります。
クッション言葉の使い方には注意が必要
印象の良い文章の作成には必須であるクッション言葉ですが、使う頻度とタイミングに注意が必要です。
クッション言葉は、相手を気遣うマナーの言葉ですが、多く使いすぎると用件が分かりにくくなってしまうためよくありません。
また、使うタイミングを間違えると不自然に見えてしまいます。クッション言葉を使うときには言葉の意味に注意して使用しましょう。
「申し訳ありませんが」の注意点
契約書の締結は双方の意思確認を明確にするためなので、謝罪を意味する「申し訳ありませんが」ではなく、「お手数ですが」の方が適切です。
「差し支えなければ」の注意点
早く返答してほしい時に、相手がする、しないを選択できる「差し支えなければ」を使用するといつまでたっても返答が来ないなんてこともあり得ます。この場合は、「恐れ入りますが」が適切でしょう。
このように、クッション言葉もその状況に合わせたものを使用するようにしましょう。