ビジネスメール実践編は、実際に起こりうることを例に、具体的なメールの書き方をご説明していきます。
今回は、「交渉メールの書き方1」として、発注した商品の納入を早めてもらえないか(納期を前倒しできないか)を交渉するメールについて順番に見ていきましょう。
上司より、下記指示がありました。
■■さん
おつかれさまです。
株式会社●●さんへ発注した商品Aについて
予定より早めに納入できないか確認してください。
もし可能なら、いつ頃納入できるか合わせて確認してください。
交渉メールを書く時のポイント
交渉メールを書く時のポイントは3つあります。
- 発注=契約ということを念頭に置いておく
- 「できるかどうか」を確認する文章にする
- クッション言葉を使用する
発注=契約ということを念頭に置いておく
取引先とのやり取りは、双方の担当者が行うことが多いですが、発注・受注は会社間の取引であり、発注内容が確定し、受注側が承諾した時点=双方が合意した時点で、受発注契約は成立します。
つまり、発注内容を変更するということは、一度確定した契約内容を変更するということなのです。
そのため、契約内容の変更には発注側・受注側双方の合意が必要になります。
今回の場合、何らかの事情があり納期の変更を依頼することになったと思いますが、受注側にも様々な事情があります。
受注側は通常、契約締結(受注)時点で決まっている納期に合わせて納入物を準備しますので、急な納期変更に対応できるとは限らないのです。
納期変更=発注内容の変更は、「契約内容の変更であり、受注側の合意が必要」=「受注側が変更に対応できるとは限らない」ということを、しっかり念頭に置いておきましょう。
事業活動に合わせ、いつ何が必要なのか、入手時期が早まる可能性はあるか、入手が遅れても問題ないのか等、様々な状況を鑑み発注できるよう、リスク分析や管理体制の構築を行っておくことが重要です。
「できるかどうか」を確認する文章にする
受注・発注はビジネスです。発注側にも事情があるとは思いますが、受注側にも事情があります。
一度、双方で合意した内容を変更するには、再度、会社間の交渉が必要になるため、一方的に「納期を前倒してください。」と伝えるだけでは不十分です。受注側の事情にも配慮する必要があります。
そのため、「納期の前倒しは可能ですか」等、受注側の状況を確認する文章で交渉を行います。
ただし、下記表現を用いると、交渉文に見えず、命令文のように見えてしまうことがあるため注意が必要です。
「~していただけますか」は「~してください」をより丁寧にした表現です。
つまりこの文章は、「~してください」+「よろしく」という表現ですので、「~しろ」と同じ意味になってしまいます。
今回は、契約内容の変更を交渉する文章を書く必要がありますので、この表現は不適切です。
なお見積の段階であっても、「交渉」することには変わりありませんので不適切です。
基本的に交渉では、「~してください」+「よろしく」という表現は使用しないほうが良いです。
クッション言葉を使用する
クッション言葉とは、文章を和らげるために使用される言葉です。
今回のような交渉メールは、相手を気遣う意味と「急な変更をお願いして申し訳ない」という気持ちも込めて、「弊社都合で誠に申し訳ございませんが」や「お忙しいところ恐れ入りますが」等の言葉を使用するようにしましょう。
メール文を作成する
基本的な書き方の流れ
基本的なやり方は、メールの書き方:Step1 メールを作る「3つ」の手順と同じです。
- 箇条書きで言いたいこと(要点)をメモする
- メモを見ながら、言いたいことを普段の言葉で書く
- 普段の言葉で書いた文章を敬語になおす
ビジネスメールに慣れてきたら、1の箇条書きから、3のビジネス(敬語)文にしてみましょう。
要点をまとめる
今回伝えなければならない要点をまとめると下のようになります。
- 納期の前倒しについて、対応してもらえるのか
- 前倒しができる場合、何日くらい早く納入してもらえるか
メール文を作成する
メールに書く内容を含めながら文章を作成します。(PC向けに改行しています。)